看護師長 佐々木智宏

「脳卒中・リハビリテーション認定看護師として頑張ろう!」と思っていた時に任命され、師長に!

看護学校でお世話になった先生が脳神経外科に詳しい看護師だったこともあり、新人時代から脳外に興味をもち学会などにも参加していました。ICUや整形外科の病棟などの勤務を経て脳神経外科病棟に配属され、興味ある分野での看護にやりがいを感じていました。副師長のときに希望を出して脳卒中・リハビリテーション認定看護師の取得のために半年、埼玉の学校に通わせてもらえたのです。「さぁ認定看護師としてがんばろう」と思っていたところに、看護師長の任命され2022年4月から現職となりました。現在、病棟には看護師は23名、加えて看護補助者がいます。副師長は3年の経験がありましたが、実際に師長になると責任の重さが副師長時代とは大きく違います。スタッフみんなに常に目を配りながら、病院全体の方針や動きをつかんでいく。特にコロナ禍では感染対策で職員のシフト変更、異動があり勤務調整にも気を遣いました。また患者さんの退院調整もご家族の状況も把握しながら行うので通常時よりたいへんでした。

認定看護師と看護師長を両立しながら、エビデンスをもって行うことができた病棟運営

看護師長1年目は「認定看護師として何かしなければならない」という思いをもちながらも管理職の実務に追われました。病棟ではコロナの影響で家族の面会制限をせねばならず、その代わりに家族とのズームを使った面会を始めました。また、院内のリハビリテーションも訓練室が使えないため、リハビリの調整にも工夫が必要で、看護師の業務も負担も増えていました。それでも制限のあるなかで「患者さんにとっての最善を尽くす」というスタンスは徹底しました。その時「エビデンスをもって疾患と症状の関係を見る」という認定看護師の視点があったことが役立ったと感じました。コロナ患者がだんだん減り、ワクチン接種も進んだことで世間のコロナに対する意識が低くなると、医療者との意識の乖離も生まれました。われわれの病棟ではとくに重症化リスクの高い患者が多いですからきちんと国や病院の方針を理解したうえでエビデンスをもって病棟運営を行うことができたと思います。

退院後の患者さんの生活も意識して、スタッフ個々の強みを引き出せる職場づくりをしていきたい

当院は地域の中核病院として「診療を求める患者をぜったいに断らない」という方針があります。一方で脳神経の疾患をもった人を「家に戻れるようにする」ことも重要な役割です。疾患による麻痺を持ったまま、在宅でどのように暮らしていけるようにするか。病院と在宅医療とつなげることが今後ますます求められます。病棟でできていたことが環境の違いなどで家ではできないこともあります。病院で回復した機能を家に帰っても落とさないようにするにはどうすればよいか、病棟にいるだけではわからないこともあります。われわれの急性期病棟では患者と接するのは長くても1か月です。患者さんの退院後を知るために訪問看護ステーションや三次地区医療センターとの連携を深めていく必要があります。そのためにも病棟スタッフと対話を重ねながらスタッフがもつ力を引き出し、彼らが自分の興味や強みを生かしていけるような職場づくりをしていきたいと思います。