放射線科 RADIOLOGY
概要
PET検査のPETとは、[ポジトロン断層撮影法]や[ポジトロンCT]と呼ばれている新しい検査方法の一つです。ポジトロン(陽電子)という放射線を出す物質(放射性同位元素)を注射し、そこから出る放射線をPET装置で検出することによってくすりの体内分布を画像化して病気を診断する検査法で、生体機能の[はたらき]を画像化します。
PET-CT装置はPETとCTを連結した装置で、くすりの投与後に、PET画像とCT画像を撮影します。PETで[はたらき]を、CTで[かたち]を画像化し、両者を組み合わせた画像から診断する検査法です。
・一度の検査で全身撮影
PET検査では一度の撮影で、ほぼ全身の検査ができます。
・苦痛の少ない検査
くすりを注射して約一時間安静にした後、カメラの下で30分ほど横になって撮影をします。また、体内に微量の放射性物質が残っていますので、検査終了後1~2時間はできるだけ人ごみをさけて下さい。
・がんの転移や再発の診断に有用
全身を一度に撮影をしますので、転移や再発の発見に有用です。
・組織の活動状態がわかります
くすりの集まり具合で組織の活動や、良性・悪性の識別をすることができます。
PET検査の原理
PET検査では「がん細胞は正常の細胞に比べて多くのブドウ糖を取り込む」という性質を利用して、ブドウ糖にフッ素-18[18F]というごく微量の放射線放出物質(放射性同位元素)をくっつけたくすり(以下FDG)を体内に注射します。すると、がん細胞は正常な細胞より多くのFDGを取り込み、そこから放出される微量の放射線をPETカメラでとらえて、がん細胞の位置や大きさや進行の度合いを 調べています。
よくある質問
Q:検査前日から検査終了までの間、気をつけなければならないことは?
A:検査前日と検査当日は激しい運動(ジョギング・水泳・サイクリングなど)を控えて下さい。
A:検査6時間(各施設により多少異なります。当院では6時間運用)以上前から絶食にして下さい。また、糖分を含む飲み物も控えて下さい。お水やお茶は、飲んでも構いません。(当院では検査当日、PET検査を受けられる方全員にペットボトルのお水、500mlをお渡ししています。)
A:検査終了当日は、まだ体内に微量の放射性物質が残っていますので、検査終了後1~2時間はできるだけ人ごみをさけて下さい。また、検査当日は、妊婦や乳幼児との接触をなるべく避けるようにして下さい。
Q:なぜ、検査前から絶食にするのですか?
A:検査前に食べ物や甘い物を摂取すると、がん細胞が満腹状態になり、FDGを注射しても集積が悪くなりがんの正確な情報が得にくくなるからです。
【当院では、くすりを注射する6時間前から絶食をお願いしています。】
Q:糖尿病でも、PET-CT検査を受けられますか?
A:糖尿病など血糖値が高い方の場合、FDGが筋肉や脂肪への集積しやすい傾向にあるため、がんへのFDGの集積が低下することもあり、診断精度が下がる場合があります。そのため当院では、くすりを注射する6時間前からのインシュリン投与の中止をお願いしています。
Q:PET-CT検査なら,どんな小さながんでも見つけられるのでしょうか?
A:PET-CTといえども、顕微鏡レベルの微細ながんは発見することができません。また、進行の度合いや細胞の種類によっても見えにくいがんがあります。
Q:PET-CT検査なら,どんな種類のがんでも見つけられるのでしょうか?
A:臓器や部位によっては、発見しにくいがんがあることもご了承下さい。FDGは尿中へ排尿されるため、腎臓や膀胱などのがんも発見しにくい場合があります。
Q:被ばくが心配なのですが?
A:FDGからの被ばく線量は、約4mSv(ミリシーベルト)で、胃のバリウム検査と同等です。ここへさらに、CTによる被ばくが加わり約15mSvになりますが、この線量で放射線障害が起こることはありませんので、ご安心下さい。